展示会への出展は、新規開拓や商品の訴求、さらには会社の社会的イメージの向上などが目的となります。そして、展示会場で自社のブースに立ち寄る訪問者に対して効果的にアンケートを行うと、将来の優良顧客へ育てることが可能です。
アンケートの活用が、見込み客への展示会後の行動を明確にするカギとなるため、多くの来場者に本音で回答してもらうことが重要となります。時間の限られている来場者へ煩わしさを感じさせず、確実に回答してもらえるアンケート項目の作成が求められるでしょう。
展示会終了後は、スコアリングをつけて今すぐにアプローチするべき顧客に対して、スピード感を持ったフォローが求められます。加えて、今すぐ商談につながらない顧客に対しては継続的なコミュニケーションを行い、今後へつなげることが重要です。
本記事では、来場者に回答してもらえるアンケート作成のポイントや、回答しやすい・NGとされる設問などを解説します。
目次
展示会出展のひとつの目的として、リードジェネレーション=名刺の獲得があります。加えてアンケートに記入いただくことで今後のアプローチへとつなげていけるため、来場者にとって回答しやすく興味を抱かせる設問を作る必要があります。
展示会においてのアンケート設問の作り方・運営方法などにはいくつかの押さえるべきポイントがあるため、順を追って解説します。
まずは展示会出展の「KPI・KGI」(※)を再確認します。アンケートは、これらの達成のために活用するという意識で作成し、当日ブースに立つメンバー内で共有します。
そうすることにより、それぞれがアンケートの重要性を認識できるため、回収率やクオリティの向上へつながります。
※KPIとは、目標やゴールに対する達成の度合いを測る中間指標。KGIとは、売上高や成約数、利益率を指します。
来場者からのアンケートによって、すぐに商談につながる顧客か、または将来的にビジネスに結びつきそうな顧客かを振り分けます。これらの顧客がどれくらいいるかによって、展示会が有効だったかどうかを判定できます。
さらに、展示会のテーマに対してどのような来場者が集まるのか、どんなニーズを持っているのかを知る手段ともなるでしょう。直接的にビジネスへ結びつくわけではありませんが、今後の商品開発や販売促進へとつなげられます。
展示会には多くの人が来場し、自社のブースでさまざまな見込み顧客と名刺交換などの交流を行います。しかし、全員と同じ密度でアプローチをするには非効率のため、アンケートによって各見込み顧客の確度を明らかにして、アプローチの優先度を決定しましょう。
検討が先になりそうな見込み顧客に関しては、ひとまず来場のお礼をメールなどで送ります。
購入時期が決定している・デモを試してみたいなどの回答があった場合は、今すぐ商談になると判断しスピード感を持ってアプローチをします。
アンケートは見込み客の確度の他にも、訪問者へのアプローチ材料を知る手がかりにもなります。営業アプローチの際に、あらかじめ相手の情報があるかないかで効率が大きく異なります。
決裁権を持っているのか、すぐに商品やサービスを購入したいのかなどの情報を元に、相手に応じた提案をしていきます。
このように、展示会でのアンケートを活用することにより、来場者を実際の顧客へと育てることが可能です。ヒアリングやアンケートの内容から整理をし、最適な提案ができれば成約への大きな一歩となります。
展示会アンケートで重要なのは、いかに来場者の本音を引き出せるかということです。有効回答数をアップさせられると、それだけ新規顧客を獲得できる可能性が高まります。
こちらとしては得たい情報が多く、アンケート項目を増やしてしまいがちです。しかし、機会損失を少なくするためには、項目はなるべく少ないほうが回答してもらえます。
さらに、回収や集計の作業も考慮が必要です。回収方法に合わせたアンケートの作成をしておくと、その後の集計作業をよりスムーズにできるでしょう。
展示会の参加者は、限られた時間を割き多くの情報を得るために来場しています。企業によっては、全体を回るために人海戦術を採用しているところもありますが少数での参加が多いでしょう。
そこで、来場者のニーズを知りたいがゆえに細かい質問をしてしまうと、時間に追われている参加者としては悪い印象を持ってしまう可能性があります。
自社ブースによほどの興味を抱いてもらわなければ「面倒なもの」として捉えられてしまい、そもそもアンケートに回答する気がなくなります。たとえ回答してもらえたとしても、質に関しては疑問が残る結果となるでしょう。
したがって、アンケートを考える際には参加者の立場を考えなければなりません。
相手は顧客のため、設問の言い回しや表現には十分に注意したいところです。言い方ひとつで相手の印象が変わってしまうためです。
役職などは名刺からある程度把握ができるため、決裁権について言及するのは次のフェーズと考え、アンケートには職種や部門だけを記入してもらうようにしましょう。
昨今では、タブレット端末やスマートフォンなどを利用した、デジタルデバイス式のアンケートが実施されています。例えばタブレット端末であれば、参加者に設問をタッチしていただくだけで簡単にアンケートの回収が可能です。
スマートフォンであれば、専用ページを作成して参加者にアクセスしてもらい、アンケートの回収へとつなげます。ただし、帰宅後にアンケートに回答してくれる可能性は低くなります。キーホルダーやクリアケースなどのインセンティブを設け、回答率アップに役立てましょう。
「BANT」とは、見込み顧客から聞き取るべき4つの項目の頭文字を並べたものです。
アンケートを実施する際には、欲しい情報が手に入らなければ意味がありません。上記の4項目を意識し、見込み顧客から聞き取るべき設問の設計をします。
とはいえ、この項目をそのままアンケートに落とし込むのでは不自然となるため、営業トークをイメージしたストーリー仕立てにすると良いでしょう。あまりBANT条件を意識しすぎないようにします。
決済者や予算について聞くとしても、関係性も深まっていない企業に対しては答えにくいのが本当のところではないでしょうか。その辺も加味しつつ、BANT条件を軸にした質問を、選択式にするなどの工夫が必要となります。
上記のことから、数を設定し、シンプルかつわかりやすい設問や選択式のアンケートにするのがベストです。
項目が多ければ多いほど、参加者は煩わしさを感じます。ついにはアンケートの記述を拒まれてしまう事態にもなりかねません。設問数はなるべく少なく、誰が読んでもわかる内容にしましょう。
他にも、ブースで接客したスタッフ本人が、重要項目をヒアリングした後にアンケートへ記載する「ヒアリングシート方式」も有効です。
来場者の中には、気になる商品やサービスがあれば個別に相談したいと考える担当者もいます。そういった場合に的確な商品説明ができる人員を配置し、スムーズに商談へとつなげてリード顧客を逃さない工夫が必要です。
呼び込みやアンケートは新人に担当してもらい、個別相談には自社商品に詳しい社員を配置して、商談のチャンスを逃さないようにしましょう。
アンケートの質問項目はターゲットを設定した上で作成するため、商品やサービス、業種業態によって必要な項目が異なります。
アンケート結果を元に商談に臨むのは営業担当であるため、アンケート設計の段階から営業責任者などと相談しながら作成することをおすすめします。
他にも、記入時のシチュエーションを残しておき、アンケートだけでは把握できない部分をフォローします。「○○に興味がある」「店舗を拡大する予定である」などの営業担当者のコメントを残して管理することで、情報の精度が上がります。
来場者は、限られた時間の中で多くの情報を得る目的で展示会へ訪れます。そのため、質問数の多いアンケートは敬遠されます。
名刺でわかることはアンケートの項目に盛り込まない、質問項目の数をできる限り少なくする、回答に手間のかかる自由記述はあまり使用しないなどの工夫をして、回答率を上げることが重要です。
来場者に安心して回答してもらうために、アンケートで取得した個人情報の利用目的、管理方法、開示の有無などの明示が必要となります。
以下の3点を明記することをおすすめします。
これら3点を含んだ文章を、アンケートの冒頭に注意書きとして挿入すると良いでしょう。
アンケートの中身が決まってきたら、実際にどういった形で運用するのが効果的か、アンケートフォーマットの面で考えてみましょう。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、展示会のような集計数が多くなりそうな場面では、デジタルデバイスの使用が適しているといえます。
来場者数が多くなっても集計や分析作業に手間がかからず、負担の少なさから回答してくれる来場者は少なくありません。さらに、展示会後のアプローチへとスムーズに移行できる利点もあります。
しかし、自宅へ帰ってから回答してもらうアンケート形式はあまりおすすめできません。帰宅後にアンケートに回答してくれる人は少ないためです。できるだけその場で回答できるアンケートを実施するべきでしょう。
紙面のメリットは「誰でも簡単にすぐに始められる」ところです。パソコンとプリンター、印刷さえできればアンケートの実施が可能です。
年齢や性別を問わず、鉛筆やボールペンがあればどなたでも回答できるところも魅力です。スマートフォンなどの操作に慣れていない高齢者であっても、紙のアンケートであれば問題なく回答できます。
他にも、商品と一緒に手渡したり、顧客が座っている席に備え付けておいたりといった手軽に配布できる面もメリットとなります。
デメリットは、印刷代などのコストと集計作業に手間と時間がかかる面です。
タブレットやパソコンでのアンケート回収は最近の主流となっています。Googleフォーム等の無料ツールも充実しており、選択肢の多さも使いやすさを感じる理由のひとつでしょう。
印刷代などのコスト削減、配布の手間などもかかりません。専用ツールを使用すると、設問設計もスムーズに行なえるため負担が少なく済む面もあります。
さらに、あらかじめ名前・住所・年齢などを入力した状態からアンケートをスタートできます。入力の手間を省くことで、回答率が高くなる傾向があります。ツールによっては顧客データとアンケートの紐づけも可能なため、分析の精度を高められます。
ただし、紙のアンケートとは逆に、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていない人にとっては、抵抗感がある場合があります。対象を考えたうえで使い分けできれば良いでしょう。
インターネット上で簡単に回答ができて、回収や集計の手間がかからないのがアンケート作成ツールです。あらかじめアンケートに必要な機能を備えており、以下のような作業が簡単に可能です。
基本的にツール画面の指示に従うと作成できるため、選択数の制限や分岐設定も簡単に設定できます。パソコン操作に慣れていない人でも作成できる点もメリットでしょう。
他にも、回答者の年齢・性別・職業などの属性の指定、集計目標などもカスタマイズできます。ここ数年の間に浸透している、リアルとオンライン同時開催のケースでも活用できるツールです。
有料のためにコストは多少かかりますが、膨大な量のアンケートを回収・集計する手間にはかえられないのではないでしょうか。なにより、アンケート作成に特化しているため使い勝手が良いのが魅力です。
BANT来場者アンケートの各設問に対してスコアを付け、優先順位を決定します。振り分け後はナーチャリング(リードの育成)を行い、継続的にコミュニケーションを取ることで自社顧客へとつなげていきましょう。
判断基準を定めて的確な振り分けをすることで、リードの関心に応じた適切なフォローを可能にします。
今すぐ顧客になりうるリード | 架電・打ち合わせ日程の調整 |
検討段階のリード | セミナーへの誘導・導入事例を記載したメルマガ |
導入予定がないリード | ステップメール・お役立ち情報などのメルマガ |
展示会を獲得したリードをそのままにしていても、顧客に結びつくことはありません。必ずナーチャリングを行い、リードの目的や関心を把握した上で、それぞれに適した施策で育成します。
今すぐ結果につながらなくても、継続的なフォローを入れることで顧客のニーズが高まった時にキャッチアップが可能です。
展示会には多くの出展企業があり、その中から自社に興味を持ってもらうことが重要です。適切なアンケート設計をして自社ブースの有効回答数を増やし、確実に商談や受注へとつながるリードの獲得を狙いたいところです。
アンケートの結果をもとに、スコアリングが高ポイントとなった見込み客を逃さないよう、スピード感を持った対応が求められます。さらに、今すぐ商談へ至らない場合でも、継続的にコミュニケーションを取ることで将来の顧客へとつながることもあるでしょう。
手間や工数をかけて出展する展示会ですから、うまく活用をしてしっかりとアフターフォローにつなげられる体制を整えておきたいところですね。
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