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派遣法改正についてわかりやすく解説!3年ルールや歴史まで徹底紹介!
2022.02.14
カテゴリ:コラム

派遣法改正についてわかりやすく解説!3年ルールや歴史まで徹底紹介!

この記事では労働者派遣法の改正について解説していきます。

 

労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」といいます。

労働者派遣法は1986年に制定された法律で、その後幾度も改正を繰り返してきました。
規制緩和の流れで数多くの業種への派遣が可能になりましたが、近年は労働者保護の観点からさまざまな措置や規制が設けられています

法制定から40年弱で、いったいなぜこれほど改正が繰り返されてきたのか。
現在の労働者派遣法を理解するためには、過去にさかのぼって、その歴史を知る必要があります。
歴史とともに、現在の労働者派遣法について説明していきます。

 

 

 

1986年 労働者派遣法制定

 

もともと労働基準法第6条で中間搾取の禁止が定められていましたが、その規制を緩和する意味で1986年に制定されたのが、労働者派遣法になります。

労働者派遣法が制定された主な目的は以下になります。

 

 

  • 派遣事業の適正な運営
  • 派遣労働者の雇用の安定
  • 福祉の増進

 

 

制定当初、適用される業務は専門的な知識や技能を有する13業務に限定されていましたが、施行と同時に16業務へ変更されました。

 

 

当初対象となった13業務 ソフトウエア開発、事務用機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、案内・受付・駐車場管理など、建築物清掃、建設設備運転・点検・整備
追加された3業務 機械設計、放送機器等操作、放送番組など演出

 

 

これほど限定されていたのは、直接雇用の労働者が派遣労働者に置き換えられることがないようにするためです

また派遣期間の上限も1年間と、現在よりも短いものでした。

 

 

 

1996年~2007年 6度の法改正

①1996年改正

 

1996年の改正でさらに13業務が追加され、26業務が対象となり、「専門26業務」と呼はれるようになりました。
具体的には、「永遠に派遣として働ける26種の業務」という意味になります。

 

 

追加された10業務 研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍などの制作・編集、広告デザイン、インテリアコーディネーター、アナウンサー、OAインストラクション、セールスエンジニアの営業、放送番組などにおける大道具・小道具、テレマーケティングの営業

 

 

このように、労働者派遣が可能な業務を明記すること(ポジティブリスト方式)で、適用対象業務を専門的または特別な雇用管理を要する業務に限定しています。
これは派遣先の正社員が派遣労働者に置き換えられることを防止するためです。

 

 

②1999年改正

 

1999 年の改正では対象業務の範囲が、ポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に変更されました。

どういうことかというと、以前は労働者派遣が可能な業務を明記されていたところが、労働者派遣が禁止された業務を明記されるようになったのです。つまり、禁止項目に明記された業務以外は、原則として派遣を行うことができるようになり、労働者派遣ができる業務が大きく広がったのです。
ただし、26業務以外の新たに労働者派遣が可能になった業務については、正社員の代替えを防止するため、派遣期間の制限(1年間)が導入されました。

 

 

③2000年改正

 

2000年には、正社員雇用の促進を目的として、紹介予定派遣ができるようになりました。紹介予定派遣とは、最大6か月間の派遣期間終了後に、派遣元の派遣会社が、派遣先に職業紹介をすることを予定して行う労働者派遣のことです。簡単に言うと、派遣先の企業に直接雇用されることを前提として派遣されることで、正社員や契約社員を目指す派遣社員にとっては嬉しい制度です。派遣先と派遣労働者のミスマッチを少なくし、直接雇用の機会を多くするための制度といえます。

 

 

④2004年改正

 

2004年改正では、それまで1年間であった派遣期間が3年に延長されました。さらに当初ポジティブリスト方式で指定されていた26業務については、派遣期間が無制限となりました。

そして禁止業務とされていた「物の製造の業務」については、派遣期間1年の制限で可能となりました。

 

 

⑤2006年改正

 

2006年改正では、それまでは原則禁止とされていた医療の領域において、一部の業務で派遣が可能となりました。
これには、離島や過疎地域などの医師不足の解消や、医療従事者の仕事と家庭の両立支援という目的があったといわれています

 

 

⑥2007年改正

 

派遣法改正。規制強化へ
日雇い派遣の原則禁止、グループ派遣の規制、離職者派遣の制限、派遣スタッフ保護、マージン率等情報公開義務化、待遇改善の強化などが行われました。2007年改正では「物の製造の業務」の派遣期間が1年から3年に延長されました。

 

ここまで、2007年までの労働者派遣法について説明してきました。
労働者派遣は規制緩和により拡大してきた一方、2007年には日雇派遣が問題になりました。
「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民」などの用語も生まれたのもこの頃です。
また2008年のリーマン・ショックにより景気は一気に後退。

 

この年には「派遣切り」が話題になりました。
2012年の法改正までに、派遣労働者を保護するためのさまざまな指針が出され、その流れを受けて、2012年改正から派遣労働者保護を目的とした改正が行われるようになります。

 

 

 

2012年 規制緩和から規制強化へ

 

 

 

◆日雇派遣の原則禁止

 

2012年の改正で、「雇用期間が30日以内の日雇派遣」は原則禁止となりました。
これは、責任の所在が不明確で派遣労働者が安定した職に就きづらいためです。
ただし、例外もあり、以下の職種は日雇い派遣が可能です。

 

【専門的な技術や技能が要求される業務】
ソフトウェア開発・機械設計、事務用機器操作、受付、通訳・翻訳・速記など

 

◆離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることの禁止

 

直接雇用で働いていた社員を、離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることが禁止されました。同じ労働者の雇用形態を正社員から派遣労働者へと切り替えることで、人件費の削減を図ることを防ぐためです。

 

 

◆グループ企業内派遣規制

 

大手企業が人材派遣会社を子会社として設立し、同社が親会社およびそのグループ企業各社に労働者派遣を行う場合、派遣割合を8割以下に抑えなければなりません。
人件費の削減に利用する事例が見受けられるようになったため、改正されたものです。

 

 

◆派遣会社のマージン率の公表

 

派遣料金と派遣労働者の賃金の差額、マージン率などを情報公開することが義務化されました。

 

 

 

2015年改正 派遣期間ルールの見直し・雇用安定化措置

 

 

2015年改正では、派遣労働者のさらなる保護のために、以下の改正が行われました。

 

 

  1. 派遣事業の完全許可制
  2. 派遣期間制限の統一
  3. 雇用安定のための措置の義務化
  4. 均衡待遇確保に向けた配慮の義務化
  5. 教育訓練とキャリアコンサルティング実施を義務化

 

 

改正内容を一つずつ見ていきましょう

 

 

①すべての労働者派遣事業が一般労働者派遣事業(許可制)に変更
これまで、企業が派遣事業を始める際には2つの方法がありました。

 

  • 「特定労働者派遣事業」=届出制
  • 「一般労働者派遣事業」=許可制

 

違いとしては、「届出制」は、雇用期間を定めていない派遣労働者(無期雇用)のみが在籍している点です。これは労働者保護が図られているとして、資産要件などの許可基準が無い「届出制」とされていました。

しかし実際には、短期雇用や賃金未払いで倒産するなど、労働者保護に問題がある事例が散見されていました。
そこで派遣業界の健全化を目的として「届出制」が廃止され、すべてが「許可制」に変更されたのです。許可されるには、キャリア形成支援制度など、さまざまな基準を満たすことが必要です。

 

 

②労働契約の申込みみなし制度
「労働契約申込みみなし制度」とは、違法状態で派遣が行われていた場合、派遣先は派遣労働者に対して、当該派遣労働者の派遣元事業主における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約をしたものとみなされます(派遣法第40条の6)。
(2015(平成27)年10月1日から施行)

 

「労働契約申込みみなし制度」の対象となる違法派遣とは、次のケースを指します。

 

  1. 派遣禁止業務で派遣労働者を受け入れた場合
  2. 無許可・無届の派遣元事業主から派遣労働者を受け入れていた場合
  3. 派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れていた場合
  4. いわゆる偽装請負で受け入れていた場合

 

※違法派遣状態であったことを派遣先が知らず、かつ、そのことに過失がない場合は除きます。
※労働契約の内容はその時点における当該派遣元の労働条件と同一となります。
※派遣先は、申し込みに係る行為が終了した日から1年間は、当該申し込みを撤回することはできません。

 

 

③派遣期間の上限を原則一律3年に
これまで派遣期間は、専門26業務(2012年より28業務)は期間制限がなく、それ以外の業務は最長3年とされていました。
しかし、専門26業務がほかの業務と比べて専門性が明らかに高いとは言えなくなったこと。
期間制限を逃れるため、専門26業務以外の業務を専門26業務と偽るなどの問題が出てきました。
業務によって雇用期間が異なると現場も混乱するとして、事業所単位(原則3年)と、個人単位(3年。延長不可)の2つの期間制限に整理されました。
ただし、派遣元で無期雇用されることになった場合は、派遣労働者は期間制限の対象になりません。

 

 

④派遣社員の雇用安定措置
派遣終了後の派遣労働者の雇用を継続させるために、派遣元は派遣先の同じグループ・課に継続して3年間派遣される見込みとなった場合、以下の措置を講じることが必要とされました。

 

  • 派遣先へ直接雇用の依頼をすること
  • 新たな派遣先の紹介を行うこと(ただし、派遣社員の住所や経験、スキルなどを含めて妥当な派遣先であること)
  • 派遣元での登録型派遣労働者以外としての無期雇用(この場合は個人単位の3年の期間制限はなくなる)
  • 紹介予定派遣や職業紹介など、その他雇用の安定を図るための措置

 

※(派遣期間が1年以上3年未満見込みの派遣社員の場合には、下記を行うことは努力義務とされています)

 

 

⑤教育訓練の実施やキャリア・コンサルティング窓口の整備が義務化
派遣社員のキャリア形成と雇用の安定化を図るため、それまで規定のなかった教育や情報提供について派遣元事業主に以下のような責務が示されました。

 

  • 入職時の教育訓練を含めた段階的かつ体系的な教育訓練の実施
  • 希望する全派遣労働者に対するキャリア・コンサルティングの実施

 

同一の事業所で1年以上継続して受け入れているなど、一定の要件を満たす派遣労働者に対し、直接雇用や正社員募集情報の提供を促す内容も盛り込まれています。

 

 

 

2018年問題 2015年改正による3年ルール

 

 

2015年の法改正で、「全ての派遣労働者の個人単位での派遣期間が3年間と定められたこと」(3年ルール)によって引き起こされた問題が2018年問題と呼ばれています。

3年ルールにより、今まで派遣期間に制限のない専門26業務に従事していた派遣労働者が、一斉に雇止めになる可能性が出てきたのです。これにより個人単位の派遣期間制限を回避するため、派遣労働者を入れ替える動きが出てきたとともに、派遣元の無期雇用化の動きが広がりました。

 

 

 

2020年改正 同一労働同一賃金へ

 

 

 

 

2018年に働き方改革関連法が成立しました。

これに伴い、労働基準法、労働契約法、パートタイム・有期雇用労働法などとともに、労働者派遣法も改正され、2020年4月1日に施行されました。

 

この年の法改正の目的は、派遣労働者の不合理な待遇差を解消すること。

具体的には、「同じ仕事をしていれば、同じ賃金を支払うべき」という賃金の決め方のルールで、同一労働同一賃金の実現です。

待遇差の比較対象は、派遣先企業の正社員になります。

 

待遇は、賃金のほかに、利用できる福利厚生施設や教育訓練の機会なども含まれています。

さらに中小企業でも、2021年4月から同一労働同一賃金がスタートしました。

2020年に最高裁判所でさまざまな判例が出されたこともあり、多くの企業が対応に追われています。

 

 

◆「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」

 

派遣労働者の賃金を決定する際に「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」、どちらかの方式に沿って行うことが義務付けられました。

 

 

1.「派遣先均等・均衡方式」とは
派遣先均等・均衡方式とは、「同一労働同一賃金」を実現するための方法の1つで、派遣受け入れ企業で同じ仕事をしている正社員と、派遣労働者の待遇を同じにする方法です

 

同時に派遣先は、派遣元に正社員の待遇に関しての情報を提供することが義務づけられました。

提供義務がある情報は以下の通りです。

 

 

  • 比較対象労働者の職務の内容、配置変更の範囲、雇用形態
  • 比較対象労働者を選定した理由
  • 比較対象労働者の待遇の内容
  • 比較対象労働者の待遇の性質と待遇を行う目的
  • 比較対象労働者の待遇を決定するに当たって考慮した事項

 

 

提供しなければならない情報は多岐にわたり、派遣受け入れ企業側の負担の大きさが分かります。

 

 

2.「労使協定方式」とは
派遣会社(派遣元)と労働者代表との労使協定で賃金を決める方法です。

 

「一般労働者の平均的な賃金」と同等以上となるように制定しなければならないため、この方式を導入することにより、雇用形態に関わらず賃金などの待遇の格差がなくなりました。

また、ここでいう一般的な労働者の平均的な賃金に関しては、厚生労働省職業安定局長名で各種通達(職種別賃金、求人別賃金、退職手当の標準額、地域指数)が出ています。

 

この平均的な賃金で割出した時給以上の額を派遣労働者に支払う必要があり、これが派遣労働者に適用される最低賃金となるわけです。

 

 

◆派遣労働者の待遇に関する説明義務

 

派遣元は派遣労働者に対し、派遣労働者の雇い入れ時派遣時派遣期間中に、派遣労働者から求められたら、書面や口頭などにより待遇に関する情報を明らかにして説明することが義務づけられました。

 

 

 

2021年1月の法改正

 

 

 

 

2021年は2度の法改正が行われました。

まずは1月の改正では以下4つが義務づけられました。

 

 

  1. 派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け(派遣会社の義務)
  2. 派遣契約書の電磁的記録を認める(派遣会社と派遣先企業への規制緩和)
  3. 派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について(派遣先企業の義務)
  4. 日雇派遣について(派遣会社の義務)

 

 

①派遣スタッフの雇入れ時の説明の義務付け

 

派遣元事業主が実施する「教育訓練」、および希望者に実施する「キャリアコンサルティング」の内容について。

派遣スタッフの雇入れ時に教育訓練計画の説明をすることが派遣元事業主に義務付けられました。

派遣スタッフはひとつの職場で長年にわたって勤務することが難しく、スキルを着実に習得していくことができませんでした。

 

今回の改正により、派遣元が教育訓練やキャリアコンサルティングを行うことで、派遣スタッフはキャリア形成に関する悩みを解決したり、今後のビジョンを明確に持てるようになりました。

 

 

②派遣契約書の電磁的記録を認める

 

これまで、派遣元と派遣先が交わす労働者派遣契約については書面での交付が義務とされていましたが、電磁記録により作成することが認められました。

派遣契約は数ヶ月ごとに更新されることが一般的ですが、今回の改正によって労働者派遣契約も電磁記録でのやりとりが可能になり、その都度書面を用意する必要がなくなりました。

書類への記入や押印にかかる時間が削減できるだけでなく、ペーパーレス化も実現できるでしょう。

 

 

③派遣先における、派遣スタッフからの苦情の処理

 

これまでは派遣スタッフから就業中の苦情があった場合、派遣元の企業が対応するのが一般的でした。

しかし改正後は、派遣先企業も同じく対応が求められるようになります

 

この労働時の苦情とは、以下のようなものが挙げられます。

 

 

  • 労働基準法に準ずる内容
  • 労働安全衛生法
  • 育児休業
  • 介護休業

 

 

 

④日雇い派遣であっても契約解除に対する休業手当の支払を厳格化

 

日雇い派遣において、派遣スタッフ側の問題(遅刻や欠勤、債務不履行等)以外の理由で派遣契約が解除された場合、派遣元は、派遣スタッフに対して新たな就業機会の確保ができない場合は、休業扱いとして雇用の継続を図るとともに、休業手当の支払い等、労基法等の責任を果たすべきであるということが明確になりました。

 

 

 

2021年4月の法改正

 

 

さらに2021年4月には、以下の2項目の改正が施行されました。

 

 

①雇用安定措置について派遣労働者の希望の聴取

 

派遣会社は、継続就業を希望する有期雇用派遣社員に以下の希望を聴取し、聴取の結果を派遣元管理台帳に記載することが義務付けられました。

派遣先企業への直接雇用の依頼
新しい派遣先企業の用意
無期雇用派遣への転換
その他安定した雇用の継続を図るための措置

 

 

②マージン率等のインターネットによる開示の原則化

 

従来より開示が義務化されていた以下すべての情報において、インターネットで常時開示することが義務化されました。

 

 

  • 労働者派遣事業所ごとの当該事業に係る派遣スタッフの数
  • 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
  • 派遣料金のマージン率
  • 教育訓練に関することや業務に関して関係者に知らせることが適当とされる厚生労働省令で定める事項(労働者派遣法第23条第5項)

 

 

 

まとめ

 

 

ここまで労働者派遣法について、1986年の制定から2021年の法改正まで解説してきました。

2021年の改正では、運用面の改善や、これまで曖昧だった規定が明確化されました。

 

ですので、従来から法令順守していた派遣先企業には大きな影響はありません。

定期的に改正が繰り返される労働者派遣法では、年々、派遣先企業に求められることが増えているのは事実です。

 

改正ごとに法律を正しく理解・運用し、派遣会社、派遣社員ともに、安心して働ける環境を整えていきましょう。

公開日:2022.02.14
カテゴリ:コラム