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HSPとは 〜物事に敏感な人との向き合い方を考える〜
2021.12.08
カテゴリ:コラム

HSPとは 〜物事に敏感な人との向き合い方を考える〜

HSPを考える

HSPとは


HSPとは、生まれつき「非常に繊細で、外部の刺激に敏感な繊細な人」のことをいい、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略になります。1996年にアメリカのエイレン・N・アーロン氏が提唱したもので、HSPの言葉自体は心理学上の概念であり、精神医学上の概念ではありません。統計的に見ると全人口の15%〜20%、つまりは5人に1人はHSPだとされています。反対に5人に4人は症状に当てはまらないため、HSPの特性の共感を得られず、HSP自体もまだ認知度は高いわけではないため、HSPの方は周りに合わせようと無理をして、生きづらくなっている現状となっています。


HSPは、環境やなどに影響される後天的なものではなく、先天的な気質や、生まれ持った性格であるとされています。また、人間だけでなく他の動物も一定割合でこの性質を有していることから、HSPの特性は生物学的な生存戦略によるものだと考えられています。


 


HSPのイメージ


 


HSPの特徴とは?


【D:Depth of Processing/物事を深く考えて動く】


ex.)色々な視点から物事を考える


ex.)簡単な問題でも、色々な思考をめぐらせる


ex.)色々と思考を張り巡らせて決断ができない


 


【O:Overstimulation/過剰に刺激を受けやすい】


ex.)サイレンや大きい音が苦手


ex.)痛みにとても敏感


ex.)芸術や音楽に深く感動する


ex.)何気ない他人の言動に傷つきやすい


 


【E:Emotional response and empathy/共感力が高い】


ex.)人が怒られている様子を見て、自分事と感じひどく落ち込む


ex.)涙もろい


ex.)他人の仕草から相手の機嫌を感じ取る


 


【S:Sensitivity to Subtleties/些細な刺激を察知する】


ex.)環境の変化に気づきやすい


ex.)カフェインに敏感に反応してしまう


ex.)明るい光が苦手


ex.)ザラザラやチクチクする布生地が気になりすぎる


 


総合すると、HSPの人は些細な出来事に強く反応してしまったり、外部の刺激を受けやすかったりと繊細すぎるがゆえに「生きづらい」と感じてしまうことが多い特徴があります。


しかし逆に考えると、色々と考えてしまうことは、全体的思考ができ、物事の本質を見ぬける素質もあるということであり、他人に対して強い共感をすることは、相手の目線で物事を捉えることのできる優しい人という印象を与えることができるということでもあります。


 


HSPの特徴


 


HSPは仕事にどんな影響がある?


HSPは「心が繊細」「些細なことが気になってしまう」「刺激に敏感」という特徴がありますので、仕事上では下記のような影響が出てきてしまうこともあります。


 


仕事の作業スピードが遅い


1つの出来事を深く考えてしまうため、気になったことが発生した場合、そのことをずっと考えてしまい、受け持っている業務が進まなくなる可能性があります。


 


上司から注意を受けている場面などを見ると考え込んでしまう


他人の感情を自分のことのように感じてしまうため、上司が部下を怒っていたり、注意を受けていたりするシーンを見ると、自分が怒られているように感じてしまい、恐怖感や悲壮感で仕事が手につかなくなってしまうことがあります。


 


人の顔色を過剰に気にしてしまう


些細な変化に気づきやすい特徴ゆえ、他人の表情の変化に過剰に反応し「怒っているのではないだろうか」「嫌だと思っているだろうな」など、常に他人の顔色を伺ってしまいます。また、自分はそうは思っていないけど、反対したら悲しむだろうな(怒るだろうな)と考えてしまうことで、自分の意見を通せないことも発生してきます。


 


期待されるとミスをしやすくなる


周囲から期待されたり注目されたりすると、その期待に答えようとするあまり、「本当の自分は何をしたいのか」わからなくなってしまうことで、簡単な作業もミスを連発してしまうことがあります。


 


オフィス内の光や備品に過剰に反応してしまう


オフィス内で光の発する蛍光灯や、電話・FAXの光などに過剰に反応したり、座っている椅子の材質の感触が気になってしまうことで、仕事に集中できなくなってしまうことがあります。


 


HSPの人の特徴


 


HSPとうつ病はどう違う?


HSPとうつ病は、「疲れやすい」「気分が落ち込んでしまう」「眠れない」「自信が持てない」など、うつ病と似た症状が日常で起こるので、HSPの方の中では「自分はうつ病なのではないだろうか」と感じる方も少なくありません。


しかし、医学的な面で見るとこの2つは全く別のものになり、その一番の違いは先天的であるか後天的であるかという点になります。


 


うつ病は生まれたときからうつ病なのではなく、人間関係や生活環境の中で、何かしらの原因があって発症する病気であり、HSPは生まれながらにして持っている気質になります。また、あまり調子が良くない時の症状は、うつ病の方が重症であるケースが多いです。


 


HSPにも4タイプある


HSPのにはタイプが4つあると言われています。


 


HSI


内向的なHSPで、非常に「繊細」なタイプです。


刺激を好まず、自分の世界を非常に大切にしており、他との接点をあまり求めません。他人よりもできないことが多いと感じやすく、何かを指摘された時「怒られた」「責められた」と思いやすい特徴があります。


 


HSE


外交的なHSPで、積極性は低いですが、人との関わりを積極的に持とうとするタイプです。


人間関係は長く継続しますが、他人に対して自分が起こす行動にはものすごく慎重で、発する言葉も厳選します。仕事もサービス業など、他者との関わりを持つことを好みますが、安全性や確実性を優先します。繊細ではありますが、明るい性格なので、他人はそのことに気づかず接するため、裏で悩んだり、疲弊しまう人も多くいます。


 


HSS型HSI


目新しものなどを好み、行動力もありますが、経験したことをうちに秘める天才型です。


積極的ですがHSPなので奇抜な行動などはなく、物静かで落ち着いた印象です。つまり、もくもくと自分の興味に突き進んでいるので、他者を動かすパワーよりも、自分が動いている姿を他者が見ることで影響力を与える、背中で語るタイプになります。


 


HSS型HSE


積極的かつ意識も外側に向いているため、人助けや人のために何かをしたい意識が強く、リーダーを引き受ける機会が多かったり、お願いされて人に何かを教える立場になることが多いです。しかしながらHSPなので、一人になると過剰に悩んでしまったり、疲れてしまうことがあります。


HSPの方に向いている仕事とは

HSPセルフチェック


次の質問項目に少しでも当てはまったらチェックを付けていきましょう。


チェック項目は20個です。


 


1:何事にもすぐに驚いてしまう


2:大きな音や強い光が苦手である


3:仕事中に見られていたり、他人と競争させられたりすると、緊張していつもの実力が発揮できない


4:自分の周りの変化によく気がつく方である


5:芸術や音楽に深い感銘を受ける


6:短時間でやることが多いと、頭が混乱し何をすればいいかわからなくなる


7:一度にたくさんのことを頼まれるのは嫌いである


8:空腹になると集中できなかったり、気分が悪くなるなど、強い反応が出る


9:想像力が豊かで、空想にふけりやすい


10:暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている


11:カフェインに敏感に反応する


12:忙しい日々が続くと、ベットや暗い部屋など他所からの刺激を受けない場所に引きこもりたくなる


13:ミスをしたり、物忘れをしたりしないよう、いつも気を付けている


14:人が不快な思いをしている時、どうすれば不快にならずに済むかすぐに気がつく(部屋の明るさを調整する・座る位置を変える等)


15:生活に変化があると混乱する


16:子どもの頃、親や教師は自分のことを「内気である」や「敏感である」と思っていた


17:動揺するような状況を避けることを、普段の生活の中で最優先に考えている


18:時々神経が擦り切れたように感じて、1人になりたくなる


19:とても良心的である


20:騒音に悩まされやすい


 


上記チェック項目で、11個以上ついた場合はHSPの可能性が非常に高いです。チェックが1つや2つしか無かった方でも、1つの項目自体の度合いが強ければ、HSPの気質があるとされています。


 


HSPは治療できる? 自分がHSPだった時の向き合い方とは


先にも述べたとおり、HSPは病気ではなく、生まれながらに持った気質になります。医学的に治療するものではありません。薬などで治してもらうのではなく、本を読んだりカウンセリングを受診したりと、自分の特性やHSPの理解を深め、「生きづらさ」への対処法を知ることが一番の治療となります。かといって、HSPの気質が強すぎて体調不良やメンタル不調になっている場合は、医者に相談の上適切な治療を行っていきましょう。


 


読書


 


HSPの人におすすめのお仕事


HSPは環境に影響を受けやすい特性上、仕事は好きなのにも関わらず、働く環境(場所・人)次第では、モチベーションの低下や、本来の実力を発揮しづらかったりします。結果として仕事を辞めてしまうケースも多いようです。では、HSPの人にも向いている仕事はどのようなものがあるのでしょうか。


 


1:人との交流があまり発生しない仕事


他人との交流に必要以上に気を遣ってしまうHSPでも、対応する相手が限られていたり、1人で完結出来るような仕事であれば実力を十分に発揮できます。


 


ex.)警備員、倉庫作業、工場作業員、webデザイナー、webライター、webマーケター、学芸員


作業員


 


2:動物や自然と関わる仕事


細かなことに気づき、共感力も高いHSPは動物や自然と関わる仕事も合っています。動物や植物のちょっとした変化を感じ取り、適切なケアや手入れを熱心に行える特性を活かせます。また、人ではなく自然と接することで、のびのびと仕事ができることもHSPには合っています。


 


ex.)花屋、動物園の飼育員、農業、林業、フラワーコーディネーター、ペットトリマー、トレーナー、ペットショップスタッフ、ペットシッター


ペットトリマー


 


3:正確な作業が求められる仕事


ひとつのことを深く追求し、細かな作業も丁寧に集中して行うことはHSPの得意分野です。ある程度静かな環境で仕事ができれば、人の反応や存在を気にすることなく集中もできます。スピードや作業効率が求められる仕事では力を発揮しづらいですが、仕上がりの丁寧さが求められる仕事であれば、十二分に力を発揮されるHSPの方が多いようです。


 


ex.)事務、経理、データ入力、運転手、自動車整備士、製造業(電子部品)、検査・検品・分析に関わる仕事


事務・経理


 


4:専門性の高い仕事


システムエンジニアや会計士・税理士などの専門性の高い職種はHSPに向いています。スキルと経験次第では、フリーランスで活躍することも可能で、体調に合わせて仕事をしたり、場所を選ばずに仕事が出来たりもします。なるまでのハードルが高めの仕事になりますが、実力がつけば自分自身でペースや環境をコントロールできる、自分にあった環境づくりをしやすい仕事になります。


 


ex.)エンジニア系、会計士・税理士、プログラマー、デバッカー、ソフトウェア開発、webマーケター、webデザイナー、UI/UXデザイナー


webデザイナー


 


5:クリエイティブのお仕事


色々なところからインプットをし、インスピレーションを受けて、独自の感性を入れ込み、作品を完成させるというクリエイティブ系の仕事もHSPの方には向いています。特に現代では、ネットやSNSを使い、自分の作品を世に簡単に発信できるようになりました。副業がOKな会社であれば、一人で好きな時間に作品を作成し、ネットを使ってECサイトで販売するなど、小さな規模から自分のペースでスタートすることが可能な分野になります。


 


ex.)デザイナー、イラストレーター、漫画家、ハンドメイド作家、カメラマン、ゲームクリエイター、編集・制作、絵本作家、小説家、webライター、コピーライター


カメラマン


 


まとめ 〜まわりにHSPの人がいたら・自分がHPSだったら〜


改めてHSPは病気ではありません。5人に1人は先天的に持っている特性になります。恐怖心を感じやすかったり、怒りをうまく表現できなかったり、自分自身に高度な要求を貸してしまったり、罪悪感に過剰に苛まれたりします。もし身近にHSPの方がいたら


 


・HSPの特性を理解する


・適切な立場やポジションを与える


・静かに見守りサポートする


 


という対策を心がけてみてください。


また、自分はHSPだという方も周りに理解してもらうために、少しずつで構いませんので


 


・周囲の人に自分がHSPであることを伝える


・自分の限界点をはっきりと相手に伝える


・会話の最中に適度に休憩を取る


 


など出来ることから行っていきましょう。「伝える」「受け取る」このコミュニケーションがHSPの方とのコミュニケーションを円滑にする最高の手段の一つです。


公開日:2021.12.08
カテゴリ:コラム